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2006年09月21日

●管理人、やられる

今日ほど「モロッコ的」な日も久々、というくらい!
あまりにもモロッコ的すぎる1日で、パソコンの前にいる今も笑いがこみ上げてきます。
いやモロッコ。何年つきあってもまだまだまだ「分かった」とは言えない奥深さがあります。

そもそも今日は役所に劇場のレンタルの依頼の書類を先に進めるために足を運んだのですが、本来劇場側から市役所に渡さなくてはならないはずの書類を私が受け取らなかったために、1往復よけいにしなくてはならなくなってしまったのがコトのはじまり。

市役所からタクシーに乗って、劇場まで引き返そうとタクシーを待っているのに、来るタクシーは場所が悪い事もあってどれも満車。ちっともつかまらなくて困っていた所、背後から私に声をかける初老のモロッコ人が。

どうやら彼もタクシーでどこかに行かなくてはならない様子。
待ちがてら話を聞いていると、どうやらマラケシュのいろいろなフェスティバルで、歌手を呼んだり会場を設定したりする部門の責任者さんとのこと。お互いの最近の仕事について話しているうちに、今彼が待ち合わせをしている演劇監督にぜひ一緒に会いませんか、という事に。
ちょうど別の仕事でその分野の方にコンタクトしなくてはならないという事情もあった私のシタゴコロもあって、ついて行く事にOKした私がバカでしたっ!!

自分のホームページで、そして掲示板で。
ガイジンに声をかけてくるモロッコ人なんて、99%なんらかの下心があると自分で口をスッパくして言っているのに、当の自分が自分のシタゴコロに負けてついていき、その後とんでもない1日を過ごしてしまったのでした。
自戒と、そして「他人についていく」というのがどういう事か実例を知っていただくために、実録レポートしてしまいます。

さて、あまりにもタクシーが止まらないので、結局歩いてそのおじさんの待ち合わせ場所に行く事にした我々。道すがら話す話題が、オヤジときたら、いかに自分がスゴいか、いかに今までの仕事で大きなお金を動かして来たか、いかに重要な人物を知っているか、いかに私が何も知らないか(笑)というような事ばかり。
あまりにも「私はすごい人物です」というPRが激しいので、それだけで私的には「アヤシイ」のですが、そこはまぁ、下ゴコロがあるのでがまん。

待ち合わせのカフェに到着して目的の人物に会え、その人物がある程度適確だったのは助かったのですが、そこから先が問題。普通の親切ならそこで解放してもらっておしまいなのですが、このおじさんは、「役所を相手に仕事をしなくてはいけないならやり方がある。あなたはそれを知らないから私が教えてあげましょう。どこに行かなくてはいけないか、誰がいるか。私が紹介しますよ」
…うーん。まぁいい。誰も知らない事にしておこう(笑)そして、何も知らない外国人に親切にしようとしてくれるモロッコ人、という事にしておこう。

私はただ単純に劇場に戻ってもらい忘れた紙をもらい、それを市役所に持って行けばそれでおしまいなだけなんだけれどもなぁ。
そうつぶやくと、「あなたはモロッコを知らない。誰もやりますやります、と言うけれども、最後の最後で、○○をするにはいくらかかる、というような事を言って来るのがモロッコの役所ですよ。私にはそれがニオう。私に任せなさい。もう長い事仕事をしているからいろいろな人を知っているから。モロッコで仕事をするためには、一つ一つ、駒を進めなくてはならないんですよ」
…いや、それは分かっているんだけれども、ガイジンが文化交流の依頼をするのと、モロッコ人が商業ベースの依頼をするのと話をまぜてもらっちゃ困るんだよな。

そしてなぜか、彼の申請書類につきあって、今度は県庁まで行くハメに。
すると、ついにタクシーを待ちながら、「実はイタリアの友人が今日の17時にお金を振り込んでくれると言っているんですが、今お金が必要なんです。2000DHほど貸してもらえませんか?」
やっぱり!!出たっ!

でも、それがたとえほんの数時間前に出合ったオヤジの依頼であっても、ちょっとでも世話になっちゃうかもしれない、なんて思ってしまう下ゴコロありありで、かつさりげなく気の弱い私は、はっきり断れないのです〜。
「すみませんね。夫が突然出張で海外に出かけたもんで(ホント)今お金がないんです。残念ですが」と、なんとか言ってみました。
その時点ではなんとか引き下がった彼なのですが、タクシーの中でもいかに自分が信頼に足る人物か、神の名前までひっぱりだして語る始末。

そしてついに「500DHなら、貸してもらえませんか」
出た!やっぱり!!! ああ〜やっぱり道ばたでガイジンに声をかけてくるモロッコ人なんて99%下ゴコロ付き。
だからずっと挨拶以外は丸無視する日々だったのに!自分に下ゴコロがあったばっかりにぃ〜!
とにかくお金の話をするのは嫌いなので、心を固くさせながら「あのぉ、今まで私にお金を貸してと言われた人の誰一人として私にお金を返した事はありません。だからお金はもう貸さないと決めているんです。ごめんなさい」

「…そうですか。」
彼はするとやおらに電話をかけはじめ、なんとかお金の工面をしようとしています。
まぁ、どうやら本当に困っているらしいのは事実のようだけれども、いつも一緒に仕事をしていて彼にメリットがあると知っている人でさえ貸さない、貸せないのに、たまたまさっき知り合った私がお金なんて貸さなきゃいけないのかまるで理由が分からない。
それに、さんざんっぱら儲かっていて、BMWに乗ってる、なんて話までしているような人物が、2000DHに困るなんていう話も、アヤしさに拍車をかけるだけ。
そんなヤツにつきあって、貴重は半日をムダにしてしまったかと思うと、もはやお金の問題でなくて爆発しそうな私だったのでした。

ひとまず県庁での仕事を終えて、タクシーをつかまえ、ふたたび彼が「友達だから」という劇場のディレクターの元へ。そこでもうアナタから去って行って〜!思うのに、まだなんのかんのと話を出しては粘るオヤジ。
あ〜!もう!わかりましたっ!!
ついに屈した私は、ついにというか、やはりというか、「……500DHでいいのね?」

あぁ。ほんと。ガイジンなんていいカモだよなぁ。
「何も知らないから」という、つつましいガイジンとしてはそう言われても一言も言い訳できないような理由でお守りをされては、自称ガイドだのアヤしいオヤジだのに日本人のアルバイトの日給並みのお金をほとんどタダであげちゃうんだから。

家に戻って電話でこの話をしたら、ダンナには「そんなの文化交流だから一切お金をかけずに出来る!お前の助けなんかいらない!って強く言わなきゃだめだよ!」と言われるし。
まさにモットモ、の発言なのですが、ここはモロッコ。
パートナーや家族の持つコネの範囲を勝手に越えるのはとても嫌われるので避けるべきなのですが、それでは既にあるコネの範囲をなかなか出られない。それでは仕事を先に進められないから、そこはガイジンの特権として、知らぬ顔してそこらの人と仲良くなってしまって新しい人脈を広げる、という作業も時にはどうしても必要になるわけなのです。

もっとも、誰の紹介もなしに発掘したその人脈が、本当に当たりなのかハズレなのかは、ある程度コマが先に進まないとわからない事なのですが、家族にはウケない事まちがいなし。
無理矢理発掘した人脈がハズレだったりした日には、ますます「モロッコの事を知らないくせに下手な事をするんじゃない!なんで最初に相談しなかったんだ!」…という事になってしまうので、ガイジン業もなかなか大変。

さて、この500DH。
ひとまずは返却期限を来週木曜日に設定し、「初めて会った日に、初めて会った人に500DHも貸すなんて、どれだけあなたを信頼してるか分かるでしょうね?」と念を押して、私も最後にはちょっといろいろ知ってるぶって(笑)怖がらせておきましたが、はてさて、無事に戻って来るのか、それともサービスの見返りとして、当然のようにそのまま吸い上げられる道をたどるのか?!

サイフを張ってネタを提供している管理人の運命やいかに!
【次週につづ…く?】

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コメント

ご、500ディラハムも!ここは、それだけ!で済んで良かったってことにするっきゃないんじゃないでしょうか?どこの国でも”したごころ”ってヤツは丁半勝負。
来週の約束の場所に行く時にはボディガードでも
雇ったり?全てインシャッラーですかね?どうぞお気を付けて下さいませ。

fossileさん
ふふふふ。「貸した金はあげた金」ですからね。
間違えて2000DHお財布に入れてなくて良かった!です(笑)
もっともあくまでも500DHでタイが釣れたら安いものなのですが(笑)、実のところは私の方が「次のイベントで歌手の○○を招待するんですが、お金がなくて…。利益は折半しますから、200,000DH貸して下さい」なんて言われたりしないかどうかという事の方が心配だったりするのでありました。
まぁ、断るまでもなく、ないから出せないんですけどね(笑)

もっとも今後、モロッコ的にはどう展開するのか、秘かに楽しみにしていたりするこのキモチは、実は秘かに過去に悪徳商法と気がつきながら問い合わせた教材販売会社を、断ったらどうなるんだろうとドキドキした気持ちに似ているかもしれませんねぇ。(断った後の話はまたいつか別の所ででも(笑))
はてさて、カモにされているのは私なのか、それともネタにされている彼なのか?

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