2006年05月31日

●津波の噂

【UFO研究家が迷惑な”津波警報” モロッコで避難騒ぎ】
→アルジャジーラ:翻訳・ベリタ通信=志岐隆司

メルズーガの洪水のニュースが話題になりましたが、ちょうどその少し前の事。
インドネシアの地震と重なるようなタイミングで「津波が来るらしいよ」と連れ合い。
私はてっきりインドネシアの津波の記憶と、今回の地震が重なって、そんな事を言っている人がいるんだろうと思って、もちろん「インドネシアで地震があったからって、モロッコまでなんて津波は来ないよ」と返事をしたのですが、どうやらその話題となっていた「津波」の原因はそれではなかったんですね…。
記事を読んで、思わず吹き出してしまいました(笑)

このUFO研究家による津波騒ぎで思い出したのは、日食の時の事。
真面目な声で「外に出ると目がつぶれるから出ちゃいけない」とか、友人が言っていましたっけ。
確か日食が原因で、突然学校まで休校になったりしたんですが、今から考えると、それが一体本当はどういう「科学的理由で」休みとなることになったのか、やっぱり気になる私です。

うーん。ちょっと不思議な国モロッコ。
火星人がやってくる!なんていうラジオを流したら、やっぱり今でもパニックになってしまうのかしら?なんてちょっぴり思ったりしてしまいます。

2006年05月30日

●メルズーガの豪雨について(2)

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→この写真のアラビア語の記事を読む

いろいろ心配なさっておられる方も多いようなので、ひとまず新聞やニュースで見た情報を記載しておきます。
◆死者:6人
◆倒壊家屋:165軒

外国人経営のホテルも3軒が倒壊したということです。(マリア、サニア、ベルエトワール)
その他のオーベルジュで倒壊したのは私が聞いた所では10軒。
被害はメルズーガとハッセルビィ周辺に集中しているということでした。
いずれもオアシスの農業(刈り取り前の麦等)は水に流されて全滅。(ヤシの木は残っているということです)
またヤギやヒツジといった家畜が濁流に流されて被害に遭ったということです。(ラクダは元気だそうです)
月曜日のニュースで既にテントが配布され、病院に物資も送られて来ている様子が放送されていました。

それから募金等の活動について。
そういったアクションも必要かしら?と地元の人に聞いてみたら、わっはっはっ、と笑いながら、「それはもちろんボクが窓口になるよ!ボクの銀行口座教えるから、さっそく振り込んでもらいたいねぇ!」なんて冗談を言っていました。
でも、実際のところ、多かれ少なかれそんなものでしょう。
こういうシーンで平等に、公平に動くのはとても難しい事です。

大学時代をNGO活動に費やしていた過去を持つ管理人が一言つぶやくとしたら、これはまだ公的な窓口ができているわけではないようなので、まずはとにかく落ち着いて、知人や親戚等に、被災された方の食事が出せるくらいの金額を送ってあげて、ひとまず状況が落ち着き、本当に必要なのは何なのか、地元から声が上がるのを待ってみた方がいいのではないかと思ったりします。
小さな村社会。お金ももちろん必要ですが(災害がなくてもほしいモノですから)それを誰がどのように取り扱うのかといったような事も含めて、村社会では重要です。

ざっとまず当座の食料以外に必要になるのは家の再建築と家畜の再購入、農業収入が出なくなる事への保証です。
基本的には国からの援助も出るものと思いますが、これは大部分が私有財産の復活になるわけですから、当然元々たくさん持っていた人と、元々あまり持っていなかった人がいるわけです。
ただ、これを復活させるにあたって、どのように分配するのが平等なのか。
ちょっと考えただけでも、この問題が下手をすると大きく村人の不公平感の増長につながってしまう可能性があるのが分かりますよね。

もちろんお世話になっている砂漠という存在。
私の方でも砂漠に生きる皆さんを見捨てるつもりは全くないので、村全体、地域全体で何か必要とする事があったら動けるように、今後も情報収集したいと思います。
取り急ぎ、緊急にできるだけ詳しい、正確に近い情報が欲しいと思っておられる方へのインフォメーションでした。

●メルズーガの豪雨について

皆さんこんにちわ。
先週メルズーガで大雨が降った件で、何人かの方から、「砂漠ツアーでお世話になった方々は大丈夫ですか?」というメールをいただきました。
ご心配いただいてありがとうございます。
いちおう、関連のスタッフは「いやぁ、建物の一部がつぶれちゃって参ったよ…」なんて言っている人もいますが、ラクダも含めてみな元気にしていますのでご心配なく。
砂丘が溶けてなくなったとか、砂漠がたいらになったとか聞いた、というような話題もあるようですが、もちろん砂丘、砂丘周辺の小さな砂丘で、泥流の近くにあったものは流されてしまったものもあるようですが、本体はきちんと立ってるよもちろん!と、砂漠スタッフが笑っておりました。

もっとも、多くの家やホテルが雨で溶けてつぶれてしまい、ツーリストも3人死亡するなど、砂漠ではあり得ないような豪雨だったようですが、ひとまず家が溶けてしまった人たちには、国からテントが支給されたりしているようです。
もっとも、元々遊牧民だった人たちですから、ひとまずは知恵と工夫で乗り切れるでしょう。ただ今後また何か、これはもしかしてこんな事をしないとだめかもしれない…というような状況が見えて来ましたら、皆さんにご相談させていただきたいと思いますので、その時はどうぞよろしくお願いいたします!
自然災害の時にはよく言う事ですが、災害があったからと遠慮しないで皆さんに来ていただく事が、復興への近道です。皆さんのお越しをお待ちしています!

2006年05月20日

●my bestホテルの「作り方」

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※写真は全て異なるホテルの写真で、本文とは何の関係もありません。


旅行のお客様から、そしてまた雑誌やテレビの取材陣からも聞かれるのが、やはりおすすめのホテルやレストラン。その中でも、今回はホテルのお話をちょっと。

実は今のモロッコはすごい勢いで、大きなホテルや小さなホテルが増えては消え、消えては増えているので、その中から「おすすめ」を紹介する作業というのは簡単ではありません。
仕事柄安宿からうっとりするような高級ホテルまで、どこが開いた、どこがいいと聞いては都市部から地方までいろいろ訪ね歩くわけですが、実際のところ、ここはぜひお客様に紹介したい!と思うホテルというのは、かなり限られてしまいます。
というのも、ホテルというのは、デザインやら価格やら、装飾といった、簡単に目につくところで、「高いからさぞ良いだろう」という判断ができるシロモノではないからなのです。

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2006年05月19日

●フェズからの帰り道

仕事で出かけたフェズからの帰り道。
同じコンパートメントになった女性はなんだかまるでそこが事務所であるかのように電話のしっぱなし。
「ああごめんなさい、30万、50万ディラハムの小切手を用意するのを忘れてしまったから、それぞれ○○銀行と××銀行ので用意しておいてちょうだい」
「このあいだの○○ヘクタールの土地の話だけど…」
「ヒヨコ3万2千羽を3万5千ディラハムで…」
ヒ、ヒヨコ?聞き間違いかしら?!とか、なんだかどうもスケールの大きな話だなぁ、どんな仕事をしている人なのかなぁと、あまりにもデカい話し声に、聞き入るともなしについ聞き入ってしまった道中。
それ以外には大して面白くもおかしくもない時間が夕暮れの風景とともにゆっくり過ぎて行き、炎天下に1日歩いてすっかり疲れていた私はいつの間にか眠ってしまいました。

ところが空もすっかり暗くなり、電車がラバトを過ぎた頃、突然電車がバチバチバチバチ…!!と、線路下のバラストを巻き上げ始めたではありませんか!
場所はゆっくりしたカーブ。周りには家々。
頭の中にはまだ昨年の尼崎線の電車脱線事故も新しい上に、自分自身の交通事故の記憶も重なって、一瞬凍り付く私と、窓際で電話中のゴージャスなマダム。まさか!

でも、体に負担になるようなブレーキ、なし。上下にガタつく様子も、なし。
ひとまず悲劇的な脱線はまぬがれるか?!でも、左カーブで、左側にあるコンパートメントだから、もしも倒れたらどこでどう自分を支え、衝撃から身を守るか?!…と、頭の中をかけめぐる大惨事。

そう思っていたら、列車はそのままゆっくりと止まり、事なきを得た事に、ついついお隣のマダムといっしょに喜びあってしまいました。
「夫に車で移動するのだけはやめてくれって言われて電車にしたのに。もうだめかと思ったわ!」
「私も同じですよ」
なんていう会話をしながら、車内放送も何もなく、ただひたすら止まり続ける電車の中で世間話がスタートしました。

どうやら彼女は、フェズでは有名な小麦やら鶏やらといった食品関連の供給にかかわる大きな会社の社長さん。起業したのではなく、雇われていた立場からたどりついた社長さんということで、モロッコにもそんな会社があるんだとすっかり感心してしまいました。
「300人の男性スタッフの上に女が立っているんだから大変よ」と言っていましたが、いやモロッコ。
なかなか女性もやりますね!
会話はそんなふうになごやかに進み、モロッコの経済や発展の問題について、モロッコで1番の産業である農業関連の会社の社長さんから話を伺えたとても貴重な機会になったので、これもまたケガの功名というところでしょうか。

ところがやはりどうしてこんなことになったのか気になる気持ちが出て来るのは万国共通。
「ちょっと様子を聞いて来るわね」といってコンパートメントを出て行った彼女が戻って来た時に教えてくれたのは、なんと停車原因が「自殺」だったということ。
「線路の上で仁王立ちになっていて、ブレーキも間に合わなかったんですって…」
それはそうでしょう。
ただ、自殺そのものがモロッコでは非常に珍しいので、モロッコの電車でそれに出くわしてしまったというのが驚きでした。

「モロッコでも、自殺する人いるんですね。日本では交通事故死する人よりも、自殺者の方が多いくらい、少なくない事なんですよ」というと、「確かにモロッコではそんなに多くないけれども、いるのよ。やっぱり。自殺する人も…」、と彼女。
大抵の事には「マーケイン・ムシュキル!」(ノー・プロブレム!)とかなんとかいいながら、時にはごまかし、時には無理を押し通したりして日々を過ごしている人の多い国ではありますが、いくら天国に行けないと言われても、やっぱりもう選択肢はそれしかない、と思い詰めてしまう人は、やはりどこの国にもいるものなんですね。

1時間以上たってようやく動きだしだ電車は、なんだかいつもよりもスピードを上げているように思えて、小心者の我ら2人乗客は、「生きてたどりつければそれでいいから!ゆっくりでいいから!」なんてつぶやき続ける始末。
急いでいる時には「遅い!」とか、「なんで遅れる!」なんて思いがちですから、人間なんて勝手なもんですよね。
ちなみにモロッコの国鉄ですが、創業以来、一度も死人が出るような列車事故を起こした事はない、という事ですので念のため。

2006年05月16日

●旅行写真の展覧会

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昨年9月に「まよいかたオリジナル砂漠ツアー」で旅をされたお客様が、6月にその時に撮影した写真の展覧会をすることになりました!
今年はモロッコと日本の国交樹立50周年という機会もあって、大使館からの応援も。
大使館スタッフの方によるモロッコ旅行についてのお話や、撮影者である斎藤さんの旅話が聞けるギャラリートークも、6月17日(土)に催されます。
場所は首都圏在住の方にはアクセスしやすい新宿の、西口高層ビルの一つ、三井ビルの1階・ペンタックスギャラリー。モロッコに行ってみたい方、旅の興奮をまた味わいたい方、ぜひ出かけてみてください!

※モロッコ旅のまよいかたでは、モロッコにまつわるイベント情報の告知は、無料で行わせていただいています。テレビ番組、雑誌記事のご紹介も含めて、最新情報はぜひご一報下さい!

2006年05月11日

●ケラア・デ・ムグーナのバラ祭り

ダマスクローズ

5月の5、6、7で開かれた今年のケラアのバラ祭り。
お祭りそのものは別にわざわざ訪ねないともったいない!というほどのイベントではないんですが、この時期のケラアの街は、車で通りすぎるだけでもさわやかなバラの香りが鼻をかすめてくるくらい!
この頃のお楽しみは、なんといってもこれでしょう。

路肩でバラの花の首飾りを売っている少年から車の芳香剤代わりに1本買うと、車内は本当に「う〜ん!いいにおい!」と、思わず深呼吸したくなってしまうほどのさわやかさです。砂漠への旅の間に、バックミラーの所につるした首飾りはモロッコの強力な太陽の下、すぐに乾燥してしまうので、旅の終わりにはすっかりドライローズのできあがり。
鮮やかなピンク色とともに、「バラの花ってこんな香りがするものもあるんだ」という思い出も閉じ込められるので、自分用のお土産におすすめの1品です。

さて、このケラアで作られているバラは、「ダマスク」と言われる種類。
モロッコの他にはブルガリアとトルコが主な産地で、5トンの花からたった1kgしか取る事のできない香水用のエッセンシャルオイルを作るために生産され、香料商を通して買われたオイルは、やがて大ブランドの香水の香りの一つとして我々のところにやってきます。
例えばシャネルの「No.5」や、ディオールの「ポワゾン」などには、モロッコのダマスクローズのエッセンシャルオイルが、その300を越えるという香りの要素の一つとしてではありますが、選ばれているんだそうですよ。

本来の「ローズウォーター」は、このはなびらを蒸気で蒸留して出て来た水の事。
このできたてのローズウォーターは、花そのものの持つ香りよりも甘く、ほんのりはちみつのようなにおいがします。
植物のエキスを吸い込んで出て来たこの水こそ、バラが持つ美肌効果を持った化粧水として使えるクオリティーのもので、市販されているローズウォーターは、ほとんどが香料を足して作っているものであるのだそうです。
(その香料にしても、安くないものだそうですが)

ところがワタクシ、その真実を知った後でもやっぱり好みの香りなのは、このダマスクローズ本来の香りをよりクリアに再現した、「香料追加」モノの方。バラの花効果は気になるものの、私にはスイートすぎる本物のローズウォーターの香りは、鼻のすぐそこでにおわれるにはちょっと…、なんですよね。

美肌にこだわりたい時には本物で。
リフレッシュしたい時には香料追加モノの方で…なんて具合に、いかに「その時の自分が気持ちイイ」と思えるかという所にこそこだわって使ってみたいと思った今年のお祭りでした。