2006年04月29日

●「制作」と「営業」

そもそもエディトリアルデザイナーだった管理人。
大学生になりたての頃や、デザイナーとして仕事をしていた頃の感心は、もちろん「いかに美しいデザインに仕上げるか」ということが、言うまでもなく、一番気にしていた所。
ところが、今こうして旅行業にも首までつかってしまって、自分で自分の仕事をプレゼンテーションしなくてはならなくなった時、ただ単に見た目のきれいなページを作ればいいという事だけがデザイナーの仕事ではなかったんだ、ということに、今更ながら気がついてしまった。

それは何かというと、出来上がりのデザインが持つ、「営業」の持つ側面。
デザイナーでいた時には「なんだこのクライアントは!頭カタイなぁ」とか、「こっちの方がきれいなのに、どうしてそうしないんだろう」と思う事もいろいろあったけれども、今こうして、デザイナー同士で力を見せ合う事を意識するのではなく、あくまでも「お客様への販売が目的である」という視点にシフトすると、どんなにきれいなものでも、営業面でターゲットとする人々の趣向や、それぞれの業種で好まれる一定のパターンのようなものをある程度踏襲していないと、デザインとしてどんなに美しくても、目的を達した事にならないのだという事。

分かりやすく言うと、スーパーの安売りのチラシで、スーパーモデルが大根を持っていても、広告としてほとんど意味がなくなってしまうわけです。
実際はここまで単純ではないけれども、自分がやってみたいと思っている事と、実際にこうした方が効果があるだろうと思われる事というのが、時に違っている事も少なくないんだ、というのを、頭で考えるのではなく「体感」している今日このごろ。

日本にいて一つの視点からだけで仕事をしていたら、そんな事を皮膚感覚として理解するには、もっと時間がかかっていたかもしれません。
業種が専門化しておらず、家の電話工事からホームページのデザイン、接客から営業まで一人でこなさなくてはならないようなモロッコの社会では、自然と物事を多角的に見なくてはならなくなって行きますが、不便な中で、そんな視線が培われる生活。
次はどんな発見があるだろうかと思えるから、時にはたまるイライラを乗り越えて暮らしていけるのかもしれません。

2006年04月23日

●ブログできあがりました!

ブログできました、なんていう記事を書いてからしばらく。
ようやく皆さんに公開できる体裁が整ったので、「ブログはじめました」とお伝えさせていただけます。
更新情報や、イベント情報、マスコミでのモロッコ情報等、これからはもっと素早くお伝えさせていただけるかと思いますので、新たなページとして、どうぞよろしくお願いいたします!

2006年04月16日

●シアワセを運ぶひと

先日仕事でカサブランカに出かけた時のこと。
仕事が終わった後は、ちょっと優雅な気分に浸らせてもらおうと、某5つ星ホテルのモロッコ料理レストランに出かけることに。
平日だったこともあって、レストランは私達2人と、先客の白髪がとても似合っていた老人の一人だけ。
たった3人のお客様だったけれども、ウードを片手に2人組の歌い手が、アラビアの調べを上品に奏でていて、寂しすぎず、うるさすぎないその雰囲気は、ちょうど女二人だった私たちにもぴったりでした。

小さなお皿でたくさん出て来るモロッカンサラダとクスクスだけ頼んで、カサブランカビールで乾杯。
おいしい食事と、洗練された音楽。疲れもあって、コップに半分くらいでもうすっかりいい気分。
どうやら先客の老人も、同じような気分だったようで、
1曲終わるごとに、パチパチと拍手をしていると、「君たちもこの音楽が気に入ったかい?」と。
「声がとてもいいですね!私もとても気に入りました」と答えると、「実は僕もそうなんだよ。仕事仕事でとても疲れたけれども、今日はおかげで本当に気分がいいんだ!」

どうやらスイスに暮らしているモロッコ人で、月に2回ほど仕事でカサブランカにやってくるらしい。
ホテルにとっても上得意らしく、ウエイターさんたちのサービスもぬかりない。
「何かリクエストはしないの?」と言われたので、私はベルベル語バージョンを聞いてすっかりお気に入りの、ウンム・カルトゥーム(エジプト人)の「ファッカルーニ」を。
老人も、それなら私は…と、これまた有名な歌手の曲をリクエスト。
頼みたい食事を頼んで、飲みたい飲み物を頼んで、好きな曲を聴いて。
そしてウエイターも、絶妙のタイミングでサービスをしてくれて。

そんなふうに、モロッコにしては珍しく(笑)絶妙な夜だったから、その老人も時々、あまりにも幸せだから誰かと話さずにはいられないといった感じで「今夜は本当に完璧だ!」と、誰にともなく口にしていたのでした。
眺めるとなく眺めていた彼の顔は本当におだやかで、幸せそうで、実はその日、「やっぱりモロッコはモロッコだったか」と、ちょっとがっかりする事がなかったわけでもなかった私だったのだけれども、彼からにじみ出て来る”本当に幸せ”なオーラにあてられたおかげで、同じ空間に居合わせた私たちも、いつの間にやらとても幸せな気持ちになってしまっておりました。

そういえば昔、パリでとある日本人アーティストと一緒に食事をした時に、同じような事がありましたっけ。
特にこれといって有名なレストランで食事をしていたわけではないながら、彼は出て来た料理に、それこそ一つずつ、「こんなにウマイものを食べた事はないなぁ!本当にウマイ!」といって、もしかするとそれはちょっとみっともないとも言えるかもしれないくらいガツガツと食べていたのです。
傍目にはもしかして違って見えていたのかもしれないけれども、その時の私には、テーブルマナーうんぬんではなく、そこにいる人を幸せにできる食いっぷりというのもあるものなんだと思えたのです。
自分が作った料理ではないけれども、もしも自分が作った料理をこんなふうに食べてくれる人がいるとしたら、自分はどれだけ幸せだろうかと思うと、まるで私が彼の料理を作ったシェフだったかのようにうれしかったのを、今も昨日の事のように思い出します。

そういえばもう一人、マラケシュのホテルのバーで歌を歌っていた歌手のおじさん。
その彼の笑顔も、「きっと一生、こんなところで歌うしかないんだろうな」と、どこかで哀れみのようなものを勝手に感じていた私のよけいな同情心を吹き飛ばすほど、「今ここで歌える事がどれだけうれしいだろう!」という喜びに満ちたもので、実は今もって、この時の彼ほど幸せそうに歌っている歌手というのに世界中のどこでも出会った事がないというくらい、とびきりでしたっけ。

満足できない要因を数えればキリがないのかもしれないけれども、今、そこに流れている時間に心から満足していること。
その事が周りの人をも包み込んで幸せにしてしまうのだとしたら、私もそんなシアワセを運ぶ人になりたいものだとしみじみ思った都会の夜の出来事でありました。

2006年04月13日

●足下に転がる宝たち?!

マラケシュやフェズのメディナといった、エキゾチックな町並みが話題になることの多いモロッコですが、実はこの他にも雄大な自然や砂漠はもちろん、化石や隕石といったミネラル系の話題にもとても恵まれているんです。
ヒソカに石ころとか化石が大好きな管理人ですが、今日ネットで見かけた隕石系のニュースを見ていて、面白いサイトを発見しました。
ホームページのリンク集にも、南部の特産物として有名な物の一つである三葉虫専門のサイトのリンクを入れていますが、このサイトもまたぜひそのうちにリンク依頼を入れないといけない!と思ってしまうくらい個人的にヒットしてしまいました。

そのサイトはこちらの「iStone」。
鉱物や隕石について、科学的な話だけでなく、マニアならでは、といった感のあるミニコラムがついていたりして、難しい事はよくわからない私にも大いに楽しめてしまいました。

ヤフーのオークション等でもモロッコ産の化石はとても多く出品されている事から、一攫千金をたくらんでお土産に購入していく方もおられますが、そんな方に重要なのは、もちろんそれぞれの価値を正しく理解するための事前のお勉強!
この鉱物サイトにも、どういった隕石がどのくらいの価格で取引されているのかといった事も書いてあったりしてナルホド納得。どんなものがどんな理由で評価されるのかといった事を知るのはダマされないための第一歩としても重要ですね。
知識がある、ないというだけの事で、ただの石ころが、1グラム60万円にもなることがあるんですからあなどれません。間違って(笑)新種の三葉虫など掘り出した日には、何百万円もで、国外の博物館に引き取られて行く事もあるんだそうです。
知り合いの化石ハンターに一番うれしい時は?と聞いたら、「新種を発見した時。高く売れるのもうれしいけれども、何より新しいものを自分が見つけたという喜びに勝るものはないね」と語っていたのが忘れられません。
彼は特にどこかで勉強したわけではなく、ひたすら現場で海外の教授達と働きながら知識を増やして行ったそうなのですが、好きこそものの上手なれ、とはこのことだよなぁと、机に向かって勉強して、大学を出るという事だけが勉強ではないのだとしみじみ考えさせられます。

もっともそんな下ゴコロ以前に、宇宙から飛来した石やら、何十億年も前の化石やらが足下でゴロゴロしているモロッコの砂漠。ただ単に砂漠というだけでロマンをかきたてられますが、そんな宝物も眠っているとなると、ますますわくわくしてしまうのは私だけでしょうか。
砂漠で下ばかり向いて歩いている子連れの日本人がいたら、yama-sanですか?と、ぜひ声をかけてみてください(笑)風景を見るだけではなくて、親子そろって、あるいはひたすら趣味のためにハンマー片手に下を向きながら旅するモロッコというのはいかがでしょう?!

2006年04月08日

●『キリスト最後の誘惑』

ホームページの映画のページでもご紹介している映画『キリスト最後の誘惑』
信仰と歴史考証は別モノだと思っている私には、信心深い保守的な人々から上映反対運動も起きたこの映画、たしかに信仰者として見たら、侮辱もいいとこかもしれませんが、私にとっては、「なるほど!こう考えた方が自然だよな」と思えるイエスの生涯の描き方だったのです。

歴史の点と点をどのような線で結んで物語にしていくのか、という点においても優れた作品の一つだよな、と思っているのですが、この映画を興味深いものにしている物語の大きな構成要素は、「イエスとマグダラのマリアは夫婦として生活し、子供もいたかもしれない」という考え方と、もう一つ、「ユダはイエスを裏切ったのではなく、イエスに頼まれてしぶしぶ彼の居場所を通報した」という考え方なのです。

映画そのものは88年に作られた映画ですが、なんとこの2本柱、今話題の「ダビンチ・コード」にも通じるだけでなく、今度ナショナル・ジオグラフィックで発表される「ユダの福音書」といった、今かなり注目を集めている話題が既に盛り込まれている映画なんですね!

「ダビンチ・コード」については盗作裁判等もありましたが、このネタがある種の人たちにとって「こう考える事もできるはずだ」というネタであったのは、今に始まった事ではないのを見ると、裁判が却下になったのも納得。
今話題のネタが盛り込まれた映画でしかもオールモロッコロケのこの映画。
機会があったらぜひご覧下さい!

2006年04月07日

●試行錯誤

メインのページはきちんと見えるようになったものの、アーカイブやカテゴリーの項目をクリックすると、どうも表示が意図したようになされていない。
そんな問題を解決すべく、いろいろといじってみるのだけれども、どうもそもそもデジタル系の人間でないので頭から出て来るのはハテナマークばかり。
四角い画面とにらめっこしていると、ここがモロッコじゃないような気がして来てしまう。

それでも不思議なのが、日本で同じようにパソコン仕事に集中している時よりも、なんだか時間の過ぎ方が遅いような気がする事。1分って、同じじゃないよなぁ、としみじみ思ってしまうのがこんなとき。
それだけでもモロッコに来て良かったと思う。
同じ1時間でも、ちょっとおトクな気分でしょ?

●ブログができました!

さりげなく新しモノには強くない管理人。
今や世間を圧巻しているブログでさえも、どうもシステムがうまく呑み込めず、掲示板と何が違うのさ、と、うまく導入できないでおりました。けれども世の中のいろいろなブログを見ているうちに、ようやくどうすればいいのかわかってきた…ぞ?
と、いうわけで、ホームページ用の記事にはまだならないけれども、そんなネタのたまごたちや、モロッコ、驚きの日常生活などをゆっくり綴っていきたいと思います。
ホームページ開設からはこの秋で7年になりますが、そんな私もブログは初心者。
改めてよろしくお願いいたします!