2007年01月14日

●犠牲祭3:変わりゆく村人生活

さて、犠牲祭といえば、親戚や近所の人々に挨拶して回るという大仕事のある日でもあります。
この日のために、わざわざヨーロッパ出稼ぎ組も帰ってくる人もいるくらいですから、田舎の町は大にぎわい。
どこの家でもまずお茶が出てお茶菓子が出て、そして羊を食べる事に誘われて、ひたすらおしゃべり(会えなかった日々の日常報告?)をして、また次の家庭に移って行く…という具合なわけなので、言葉もよくわからない上に、話題になっている事が自分たちが話題にすることと大抵大きく違っていたりする外国生活において、コレはかなりストレス度の高いイベントだったりして。(結婚式も同様(苦笑))

幸い我が家の場合はうちのダンナが子供の頃から働きに出ていたり、そもそも遊牧民生活だったこともあり、あまりそうした伝統にこだわりがないので、私のようなガイジンの嫁には大いなる救いなのでありました(ホッ)

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2007年01月13日

●犠牲祭2:同じ「羊肉」でも違う味!

さて、山奥の実家には、ダンナとその弟たちが集合。
既に前日に1頭の羊が捌かれており、さらに当日に2頭。
それだけのお肉は、いったいどこに消えていくんでしょうか。ガイジンな私は1日肉づけになっただけで「勘弁してください!」なんですが、モロッコ人の若い女の子に聞いてみると「…そう?私はぜんぜんかまわないけど?好きだから。」とのこと。
毎年毎年同じ事をやって、食べ過ぎて嫌いになったりとかならないんだろうかと不思議です。

さて、例年羊を捌くところから見たがるうちの子は、幸い外に降り積もっていた雪と戯れに出かけていたので、一安心。さすがにいくら見たいと言われても、まだそればかりは少し早いような気がしてしまうのですよね。
大人の私でさえ、何回見ても、首を切られてもなかなか息絶える事のない大型動物の姿を見るというのはなかなかつらいものです。(でも、死んでいただくわけなので、せめて見て、かつ食べるる事でお見送りしてしまう私です)

死に至るステップというのはどの個体もほぼ同じなのですが、かなり長い事もがく個体もいれば、横になった時に既に観念している個体もあったり。羊にしてもそれぞれの生き様と思想?があるのであろうかと、生き物がやがて肉へとなっていく過程を見つめながら、毎年いろいろ考えてしまいます。

しかし、そのようにしてしばし哲学者になったのもつかの間。
すっかりただの「肉のかたまり」になってしまうと、人間とはなんと欲深い生き物であることか!
関心はすっかりそれを「味わう」事の方(苦笑)
今年はネットで知り合った北海道の方にわざわざ送っていただいた「べるのたれ」(←田舎でも大好評でした!)持参で出かけましたからね。
肉を食べる事にかける意気込みも例年以上です(笑)

けれどもその気合い十分の「欲」を前にしてもなお、我々日本人・パッケージ社会の申し子は、また一つ自然の不思議と出会う事になるのであります。

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2007年01月12日

●犠牲祭1:12月31日。お正月の雰囲気の中で

年末にパソコンを紛失盗難にあったあおりでなかなかブログへの投稿もできないでおりましたが、ようやく新しいパソコンでインターネットにも安定してつなげるようになりました。
以下、既にかなり時差が出てしまっておりますが、いくつか年末に当たっていた犠牲祭ネタをお送りいたします。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!
(写真はまた後日ということですみません)

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今年の犠牲祭は結局12月31日に。
ヨーロッパでは12月30日だったということなのですが、いったいイスラム世界。
この「時差」はどうやって直して行くのだろうと、かなり疑問な私。

こうして1日ずれていることで、新年やら預言者モハンマドの誕生日なんていうお祝いの日も、世界的に1日ずれたまま祝われて行くのだろうかと、○○の日、は毎年同じ日にめぐってきて当たり前に思う社会の人間にはかなりキモチが悪いのですが、月を見ながら毎年ずれていく暦をおいかけていく事そのものは、長い年月の中では、365日どの日も大切な日であり得る、とも言われているような気がして、それはそれで含蓄があるようにも思えるのでした。

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2006年05月11日

●ケラア・デ・ムグーナのバラ祭り

ダマスクローズ

5月の5、6、7で開かれた今年のケラアのバラ祭り。
お祭りそのものは別にわざわざ訪ねないともったいない!というほどのイベントではないんですが、この時期のケラアの街は、車で通りすぎるだけでもさわやかなバラの香りが鼻をかすめてくるくらい!
この頃のお楽しみは、なんといってもこれでしょう。

路肩でバラの花の首飾りを売っている少年から車の芳香剤代わりに1本買うと、車内は本当に「う〜ん!いいにおい!」と、思わず深呼吸したくなってしまうほどのさわやかさです。砂漠への旅の間に、バックミラーの所につるした首飾りはモロッコの強力な太陽の下、すぐに乾燥してしまうので、旅の終わりにはすっかりドライローズのできあがり。
鮮やかなピンク色とともに、「バラの花ってこんな香りがするものもあるんだ」という思い出も閉じ込められるので、自分用のお土産におすすめの1品です。

さて、このケラアで作られているバラは、「ダマスク」と言われる種類。
モロッコの他にはブルガリアとトルコが主な産地で、5トンの花からたった1kgしか取る事のできない香水用のエッセンシャルオイルを作るために生産され、香料商を通して買われたオイルは、やがて大ブランドの香水の香りの一つとして我々のところにやってきます。
例えばシャネルの「No.5」や、ディオールの「ポワゾン」などには、モロッコのダマスクローズのエッセンシャルオイルが、その300を越えるという香りの要素の一つとしてではありますが、選ばれているんだそうですよ。

本来の「ローズウォーター」は、このはなびらを蒸気で蒸留して出て来た水の事。
このできたてのローズウォーターは、花そのものの持つ香りよりも甘く、ほんのりはちみつのようなにおいがします。
植物のエキスを吸い込んで出て来たこの水こそ、バラが持つ美肌効果を持った化粧水として使えるクオリティーのもので、市販されているローズウォーターは、ほとんどが香料を足して作っているものであるのだそうです。
(その香料にしても、安くないものだそうですが)

ところがワタクシ、その真実を知った後でもやっぱり好みの香りなのは、このダマスクローズ本来の香りをよりクリアに再現した、「香料追加」モノの方。バラの花効果は気になるものの、私にはスイートすぎる本物のローズウォーターの香りは、鼻のすぐそこでにおわれるにはちょっと…、なんですよね。

美肌にこだわりたい時には本物で。
リフレッシュしたい時には香料追加モノの方で…なんて具合に、いかに「その時の自分が気持ちイイ」と思えるかという所にこそこだわって使ってみたいと思った今年のお祭りでした。