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2006年05月20日

●my bestホテルの「作り方」

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※写真は全て異なるホテルの写真で、本文とは何の関係もありません。


旅行のお客様から、そしてまた雑誌やテレビの取材陣からも聞かれるのが、やはりおすすめのホテルやレストラン。その中でも、今回はホテルのお話をちょっと。

実は今のモロッコはすごい勢いで、大きなホテルや小さなホテルが増えては消え、消えては増えているので、その中から「おすすめ」を紹介する作業というのは簡単ではありません。
仕事柄安宿からうっとりするような高級ホテルまで、どこが開いた、どこがいいと聞いては都市部から地方までいろいろ訪ね歩くわけですが、実際のところ、ここはぜひお客様に紹介したい!と思うホテルというのは、かなり限られてしまいます。
というのも、ホテルというのは、デザインやら価格やら、装飾といった、簡単に目につくところで、「高いからさぞ良いだろう」という判断ができるシロモノではないからなのです。

一番重要なのは、良く言われる事ではありますが、GMとその経営方針。
これはいわゆる「客商売」の分野なら、もしかするとどれにでも当てはまるのかもしれません。

これがなぜ重要かというと、どんな気持ちでお客様を迎え入れるべきで、それにあたって従業員はどのようにあるべきである、というGM、あるいはオーナーの「ホテル哲学」、およびそこから派生する従業員の待遇等が、彼等の士気に大いに影響を与えるからということに他ならないからです。
(もちろんそれだけでなく、備品や内装のリニューアルサイクル等にも関わってくるのですが)

GM、あるいはオーナーとスタッフの関係が良好でないと、1泊だけのお客様にはなかなか分からなくても、添乗員さん達にはすぐにその微妙なスタッフの空気を気づかれてしまうくらい。
いかにも「義務で働いています」という感じで、お客様と接する喜びがどこにも感じられない従業員が多いホテルというのは、「素敵」といわれて紹介されるホテルの中にももちろん潜んでいて、そういったホテルは、やはりやがてじわじわと後退していく運命にあったりすることが少なくありません。
そして、もちろんその逆で、小さな小さな安宿なのに、とても気持ちの良いサービスを受けることももちろんあるわけです。

また、お客様によっては高級ホテルに泊まるなら、まるでどこかの国の大臣のようにかしこまって迎えてほしいと思うタイプの方もいらっしゃいますし、逆に自家用ジェットでやってくるような大富豪でも、かしこまられるのは嫌いだから、ごく普通にしていてくれるのが心地よい、という方ももちろんいらっしゃいます。
これがまたそれぞれ異なったタイプのもてなしを身上とするホテルに泊まってしまったら、仮に同じ1泊○十万のお金を払っていたのだとしても、満足度はあまり良くなかった、という事になってしまい、仮にそれぞれのホテルがそれぞれのジャンルで良いとされるホテルでも、このお客樣方から頂ける評価というのは、両方とも良くなかった、ということになります。

こんなふうに、人それぞれホテルに求めるものは大きく違いますから、ホテルの善し悪しというのは、単純に宣伝文句や広告の数、口コミだけではもちろん決まりません。

そんな事言われたって、毎日ホテルとつきあってるわけじゃないんだから、どこがいいんだかわかるわけないじゃない!…と、もちろん私も思います。
じゃあどうすればいいのか?
答えはカンタン!
一番手っ取り早い方法は、スタッフは、カネを払っている私のシモベなのではなく、私と同じ人間なのだということを忘れない事。

お金を払っているのだからサービスされて当たり前なのではありますが、心から伝える「どうもありがとう!」の言葉と笑顔は、誰にとっても気持ちの良いものです。
日本人の場合、こういった時に、例えば「今日の○○の焼き加減は絶妙だったね!」とか、「室内にあった花がとっても素敵だったわ!」なんていうリップサービスを加えて印象アップさせる事がうまくできなくて、何が言いたいのだかよくわからない笑顔で笑ってごまかすことがありますが、そんなときは日本語だっていいんです。
伝えたい気持ちがあって、自分は今笑顔でいられる、という事が伝わる事の方がコミュニケーション上は重要ですから、感謝の気持ちは、外国語がだめなら臆せず日本語でどんどん伝えてみましょう。

あの人には気持ちよく過ごしてもらいたいなぁ、と思ってもらえるお客様でいられたら、そこがどんなホテルであれ、自分が払った金額以上の心地よさを、きっと思い出に残して帰る事ができると思いますよ!

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コメント

GWはお世話になりました。モロッコでの行程は全てお任せしたカップルです。
おっしゃるとおりですね。期待度と満足度の関係とでも申しましょうか。

さて、アマンジュナのGMとスタッフの関係がどうだったのか分かりませんが、かのホテルでは設備もさることながら、従業員の対応がすばらしかった。
どうして、あなたはそんないい人なの?というぐらい皆、親切でした。彼らにとって仕事とは義務ではなく、喜びなんだなということを感じました。

つまりは雇用主と従業員のいい関係が保たれているということでしょうか。
いいホテルをご紹介いただきありがとうございました。

■ルーシーさん
滞在をお楽しみいただけたようでなによりでした!
アマンジェナというホテルは、ハコだけ取り上げると、建築とか内装についてだけ言うならば、「自分は好きじゃない」という人もやはりいると思います。
同じ金額なら、もっとゴテゴテ見える形でお金が使ってある、という事が分かる形のゴージャスが好きな方もおられると思うので。
ただ、このホテルの好きな所は、やはり末端に至るまでのスタッフの気持ちの良さ。GMの熱意と、はては創始者の人柄まで、遠くに見えるような気がします。
次はどこのアマンに行ってみようかしら?という「アマン・ジャンキー」なる人々が存在するというのもうなづけます。
次の旅先でも、素敵なホテルにめぐりあえるといいですね!

同じくGWにお世話になりました。
アマンジェナにメッセージを届けてくれてありがとうございました。
メッセージはスタッフがわざわざレストランにいた僕らを探して持って来てくれました。
確かに高い宿泊料ですが、スタッフ達のサービスを受けると納得するしあのシチュエーションは感動してしまいます。

砂漠ツアーも様々な場所で感動し、またモロッコへ、砂漠へ行きたい!!と思っております。

メルズーガでは洪水で大変な事になっているというニュースを聞きました。
砂漠でお世話になったベルベルの人たちやらくだは大丈夫なのでしょうか?

また、あの砂漠へ、アマンジェナへ、モロッコへ戻って来たいと思っています。

ヤマサキさん
お返事が遅くなってしまって失礼いたしました!
今回の砂漠への旅、存分にお楽しみいただけたようで何よりでした。
メルズーガの洪水は、モロッコでは日曜日に報道されたくらいで、後は誰が事後を報告するでもなく。
最近では少なくない、雨による自然災害の一つといった感じです。そんな時のモロッコ人は、どちらかというと、「それは神様が決めた事だから仕方がないのさ」という感じで、あるようで無く、無いようである彼等の信仰心のようなものを垣間みる気がします。

そんなあきらめというか、自分は神の決めた運命の上を歩くだけ、というような感じは、時に宗教というものの力の強さを感じさせ、そして時に、「自助努力というのはないのかね??」と思ってみたりもする日常のひとコマです。

まだまだ奥深いモロッコ。
高いけれども、日本人にはどうしてそれが高いのか肌で感じる事ができるアマンジェナは、仕事として出かけても、いつも変わらぬサービスの良さや丁寧さに頭が下がる思いのホテルの一つです。
ぜひまたいろいろなモロッコを楽しみにいらしてくださいね!

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