旅の情報編09:笑えない話(笑)
悪夢の食中毒 4本足のにわとり


 
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カルーセル牧。
その名前を知ったのは、はじめてのモロッコ旅行から帰ってきてからのことでした。

さんざん友達から「手術してきたのぉ?」とからかい半分に、そういう手術が実際あるのかどうかけっこう聞かれましたが、長い間それらしき話も、それらしき人にもあったことがなかったので、いったいモロッコのどこにそんな技術があるのかと私の方が疑問だったもんです。

が、ある夜、ついにそれらしい話を耳にすることになったのでした。
それは冬のある夜、友達とつれだって出かけた、モロッコ人が集まる大きなショーパブでのこと。
そこはステージ上で女性達がベルベル風のダンスを踊ったり、フォークロアのショーをやったりしながらフロアーでお酒を飲んだり、ときどき喧嘩があったりする、まあごくふつうの酒場であるわけなのですが、その日そこには見なれない一団が入ってきました。
見なれない、といっても毎晩出かけているわけではない私に見なれなかっただけなのですが。

その一団は、40代くらいの男性と、そのおとりまきの若くて美しい青年が何人かといったぐあい。その怪し気な雰囲気に興味はしんしん。ちらちらとそちらを見遣っていると、美青年がこっちに向かってウインクをしてくるではありませんか!
まずい!わるいけど私、アナタの瞳は大歓迎でも(笑)アナタの「連れ」ににらまれたくはないのよ!

あわてて目をそらし、友達との会話にむりやりもどっていきました。
なにしろこの酒場、ごく一般のモロッコ人が憂さ晴らしにやってくるごくふつうの酒場であるが故に、警察ざたになるような喧嘩もわりとしょっちゅう。面倒な事には巻き込まれないようにしないといけません。

そんなふうに思いながらも、目のはしはしっかりその一団の動きをチェック。
ベルベルダンスが終わって場内が人々の話声でにぎわいううちに今度は音楽が変わって、一番人気の歌手がステージにあがったかと思うと、例の男性がステージ近くへ歩み寄り、彼女と技を競い合うかのようにくねくねと踊りだすではありませんか!おとりまきたちはそれを見てひやかしながら、楽しそうに会話を続けます。

そると隣に座っていた友人が耳もとでやっぱり私にいいました。
「あのね、あの男、切っちゃってるんだ・・・。」
いないと思っていたらやっぱりいるんですね、モロッコにも。
新しい発見?の夜でした。
ところで、モロッコ人にこの話をするとどんなリアクションが返ってくると思います?

答えは....
モロッコ人に、そんな難しい手術ができると思うの? でした。
失敗手術の話を聞く事は、「切っちゃった人」の話を聞くより多いので、こっちのほうが、もっとずっと、現実に近いのかもしれません。

 
悪夢の食中毒 4本足のにわとり

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